開発者

 

開発者は世界的なウイルスの権威

根路銘生物資源研究所所長

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根路銘国昭 氏

 

 北海道大学で研究を進めた細菌に寄生するウイルスの効用。「ウイルスが短時間で効果的にバクテリアを殺す。もしかすると、抗生物質がなくても細菌の病気を治せるかもしれない」。研究者の多くが欧米に留学し「箔(はく)」をつけて帰ってくる中で、最後まで国内に残り「日本のウイルス研究を世界レベルへ」との信念を貫いた。

 今や世界のウイルス研究者の間で「ドクター・ネロメ」の名を知らぬ者はいない。世界で猛威を振るった

「スペイン風邪」のルーツを解明、ヒトと動物のインフルエンザウイルスの交雑を遺伝学的に証明した。

さらにナノテクノロジーを活用した「人工膜ワクチン」の開発。いずれも「世界初」となる偉業だ。

現在国内外で流行する「豚インフルエンザ」も、長年の研究で予測済みだった。

 「人がやっていることはしない」というのが研究哲学だ。

世界で進むさまざまな研究の中で、未開の分野を埋めていく。

個性的な研究は、次第に世界のウイルス研究をリードしていった。

その過程は、欧米が独占していた学会の権威に風穴をあける闘いでもあった。

 国立予防衛生研究所の研究室長時代に「日本は同じ研究レベルにある。単なる情報収集屋ではない」と日本を蚊帳の外に置いていた世界保健機関(WHO)に猛抗議。データの提供を1年間拒否し、ついに政策決定の中枢となるインフルエンザ・呼吸ウイルス協力センター長の座に、4人目として加わった。

 常に「人々の命を救うために学者としての力を発揮したい」という信念があった。現在、生物資源研究所長として沖縄の植物を調査。消毒薬などの開発に当たっている。「沖縄の植物資源が、国境を超えて世界の多くの人を救う」という思想が着々と実りつつある。

なぜセンダンか?

根路銘所長は、沖縄の振興に資するため沖縄県に自生する2,000余りに及ぶ植物を収集分析し、その中でセンダンが最も有望な植物の一つであることを確認した。沖縄に自生し、県民に日陰や建築材、家具あるいは農産業に利用されてきたセンダンの魅力が、科学的に詳細に沖縄で初めて解明された。センダンはMelia azedarach l.と命名されあおり、紀元前のギリシャ時代から人々に注目され、学名通り高貴(azedarach)な妖精(Melia)と呼称されていた。この不思議なセンダン木はインドでは様々な神が宿る神聖な木として、いろいろな病気を治療できるという意味で「村の薬局」として、またの名をニームとも呼ばれてきた。

 略歴 

ねろめ くにあき氏 本部町出身、琉球大学卒業後、北海道大学獣医学部卒業、国立予防衛生研究所(現国立感染症研究所)入所、国立感染症研究所ウイルス第一部呼吸器系ウイルス研究室長、世界保健機関インフルエンザ・呼吸器ウイルス協力センター長などを歴任。国際ウイルス学賞、ロシア医学アカデミー国際ウイルス学賞受賞、琉球新報賞受賞。スペイン風邪ウイルスのルーツを解明するなど、インフルエンザ研究及びワクチン開発の第一人者。